ミニマリストのようなスッキリした部屋に住みたいがなかなか物を手放せない人、あるいは、ミニマリストがなぜこんなにも物を減らすのか全く理解できない人、様々な人がいると思う。
今回は、私が感じる「物を手放すメリット」について書いてみたいと思う。
物を手放すことで得られるメリットが理解できれば、物を手放すことに抵抗がなくなったり、ミニマリストという生き方への理解が深まったりするのではないかと考えている。
ただし、今回の内容は私が個人的に感じたことであり、すべてのミニマリストの総意ではないことだけは、理解いただきたい。
物を手放す2つのメリットとは
私が感じる「物を手放すメリット」は次の2つだ。
- 余計な物欲が無くなる
- 所有によるストレスが無くなる
この2つについて以下に詳細を説明しよう。
メリット1:余計な物欲が無くなる
私が物を手放して感じた一番大きなメリットは、余計な物欲が無くなることである。
物欲が物欲を生むメカニズム
下記の記事にも書いたように、かつて私はTVゲームソフトを大量に買いあさっていたが、いくら手に入れても満足することはなかった。
自分の所有物と物欲(欲しい物)の差が不満足感となって表れる。
多くの人は、物を手に入れることで満足感を得ようとするが、満足感を感じるのは、物を手に入れた直後のごく短時間だけである。
なぜなら、物を手に入れた時点で新たな物欲が生まれ、再び所有物と物欲に差が発生するからだ。
「持てば持つほど欲しくなる」という言葉のとおり、物を手に入れるほど物欲は大きくなっていく。
たとえ欲しいものを手に入れたとしても、所有物と物欲(欲しい物)の差はむしろ広がる一方で、いくら手に入れても不満足感は解消しない。
これは俗に「永遠の不満足感」と呼ばれている。
結局、いくら物を手に入れても「これ以上はもう何も要らない」という状態に到達できないのだ。
しかし、その逆もまた然りで、物を手放すほど物欲は小さくなっていく。
先ほどの記事にも書いたが、私は大量にコレクションしていたTVゲームソフトを全処分した際、何かから解放されたかのように、欲しいという気持ちが消えてしまった。
近年の片づけブームで同様の経験をした方も多いのではないだろうか。
行為としては、「物を手放している」のかもしれないが、実際は「物を手放すことによって物欲を手放している」と言っても過言ではない。
自分にとって必要な物事に特化できる
物を手放して物欲が少なくなれば、「自分の欲しい物は何か」という視点ではなく、「自分にとって必要な物は何か」という視点で、物事を捉えることができるようになる。
そして、「本当に必要な物はそれほど多くはない」ということに気づかされるだろう。
それにより、物欲に振り回された生き方ではなく、自分にとって本当に必要な物や必要なことに特化した生き方ができるようになる。
自分にとって本当に必要な物事に特化した結果が、ミニマリストのスッキリした部屋だったり、ライフスタイルだったりするわけだ。
だから、ミニマリストはミニマルという点では共通しているが、個々それぞれが個性的であり、それぞれが異なるのである。
「余計な物欲がなくなることで、本当に必要な物事に特化した生き方ができる」これが物を手放す1つ目のメリットである。
メリット2:所有物によるストレスが無くなる
物を手放すことで感じた2つ目のメリットは、所有物によるストレスが無くなることである。
視界に入った物はノイズとなる
部屋が物で溢れかえって多くの物が視界に入ると、それが視覚的なノイズとなり、ストレスの原因となる。
多くの物が常に視界に入るというのは、音に例えれば、騒音を延々と聞かされているようなものだからだ。
勉強しようとしたら、机が散らかってるのが気になって勉強が手につかない、あの感覚である。
私などは、部屋にケーブル類があるのを見るだけで、イライラしてしまう。
また、物自体の数は少なくても、部屋に大きな物や背の高い物があれば圧迫感の原因になるし、単に物があるだけで掃除の際に手間が増え、掃除そのものが億劫になったりする。
こういった状態も、所有物によるストレスである。
物が多ければ多いほど管理するのがストレスとなる
では、これらの物を目につかないところに収納すればそういったストレスは無くなるか、というと、そういうわけにはいかない。
たとえ収納していたとしても、多くの物を管理すること自体がストレスとなるからだ。
物が多いと片付けするのも気が重くなる、とか、整理するのにどこから手を付ければいいのかわからない、という経験は誰でもあるだろう。
また、多くの物を収納していれば、必要なものが取り出せなかったり、そもそも必要なものがどこにあるのかわからなくなったりする。
そして、必要な物を取り出すことさえ諦める羽目になる。
結局、「所有物の量が自分のキャパシティー(管理できる量)を超えている」という状態が問題なのだ。
物を手放すことができない人は、何とかして手放さずに済む方法を見つけ出そうとする。
しかし、手放さなければ自分へのストレスとなるだけだ。
結局のところ、手放すことでしかこのストレスは軽減できない。
多くの物を所有することによって、わざわざ自分の心をすり減らす必要などないのである。
「視覚的なノイズや、物の管理によるストレスがなくなる」これが物を手放す2つ目のメリットだ。
物を手放す2つのメリットまとめ
私が感じた物を手放すメリットを再度おさらいすると
- 余計な物欲が無くなる
- 所有によるストレスが無くなる
の2つである。
そして物を手放した結果、「自分に必要な物事だけに集中でき、ストレスのない状態になる」という考えだ。
ミニマリズムとは物の少なさを競う競争ではないし、我慢大会でも、宗教でも病気でもない。
手放しすぎてそれが逆にストレスになっては意味がない。
私はミニマリズムを「自分に不要な物を極力排除して、本当に必要な物事だけに特化した生き方」だと考えている。
人それぞれ必要な物は異なる。
そういう意味では、ミニマリストは皆が同じスタイルというわけではなく、いわば、それぞれの個性を研ぎ澄まして強調した生き方、と言えるのではないだろうか。