私はこれまで、国内メーカーのWindows PCを主に使ってきたが、今は中国メーカーのWindows PCを使用している。
理由は言うまでもなくコストパフォーマンスの高さである。
つまり、性能に対して価格が安い。
国内メーカーのWindows PCは安い物でも6万円ぐらいするが、中国メーカーのWindows PCなら3万円前後からある。
そこで今回は、私が使っている中国メーカーのWindows PCの紹介と、そのレビューをしようと思う。
安いPCを探している人の参考になれば幸いだ。
用途によっては十分使える
結論から書くと、私が購入した3万円強のWindows PCについては「用途によっては十分使える」というのが私の感想だ。

ありきたりな結論だな
向いている用途と向いていない用途を羅列してみよう。
向いている用途
- インターネット
- 動画/音楽鑑賞
- オフィス系ソフト(文書作成、表計算、プレゼンなど)
- プログラミング
向いていない用途
- ゲーム(3Dなど重いもの)
- 動画編集
- 3D CAD
処理速度が速くないため、3D処理にはあまり期待しない方がいいだろう。
それでは続いて、私が購入したPCの概要と、長所や短所について紹介しよう。
Jumper EZbook S4
私が使っているPCはJumperというメーカーのEZbook S4というモデルだ。
デザインはAppleのmacbookをパクった リスペクトしたようなデザインとなっている。
薄くて軽いため、持ち運びの用途にも最適だ。
Jumper EZbook S4 スペック
スペックは以下の通り。
CPU | Celeron N4100 |
---|---|
GPU | Intel UHD Graphics 600(内蔵) |
メモリ | 8GB |
ストレージ | 256GB(SSD128GB + eMMC128GB) |
端子 | USB3.0x1 USB2.0x1 ミニHDMI microSD イヤホンマイク |
ディスプレイ | 14インチ 1980×1080 ノングレア |
なお、製造時期によってCPUがCeleron J3160の場合もあり、メモリやストレージは容量違いを選択できる場合もある。
Jumper EZbook S4の長所と短所 概要
では、Jumper EZbook S4を使って感じた長所と短所について挙げてみよう。
長所
- 用途によっては十分な性能
- 液晶が大画面・高解像度でキレイ
- 本体が薄くて軽い
- キーボードが打ちやすい
- SSD+eMMCでストレージのアクセスが 速い
- プリインストールソフトが全くない
短所
- ゲームや動画編集には向かない
- 英語キーボードのキー配置に慣れが必要
- タッチパッドの反応が悪い
- 液晶のリフレッシュレートが57Hz
- ストレージの容量が少ない
- 光学ドライブがない
- USB端子の数が少ない
- バッテリーの充電制御ができない
- ACアダプタのケーブルが短い
以下、詳細について説明しよう。
Jumper EZbook S4の長所
まずは長所から。
長所1:用途によっては十分な性能
Jumper EZbook S4のCPUはCeleron N4100(時期によってはJ3160)であり、CPUの中では低性能なCeleronが採用されている。
しかし、前述のように、3Dゲームや動画編集に使用しないのであれば、これでも十分な性能である。
同世代のCPUどうしを比較した場合は、性能の高い順にCore i7 > Core i5 > Core i3 > Celeronとなるが、 世代が異なる場合は単純に比較できず、逆転する場合もある。
私が以前使用していた2010年製の国内メーカーPCは、CPUがCore i3でありCeleronよりも上位のCPUであったが、当時のPCのCore i3-330MとEZbook S4のCeleron N4100を比較すると、Celeron N4100の方が性能が上だ。
↑Core i3-330M
↑Celeron N4100
参考サイト:
https://www.cpubenchmark.net/
元々使用していたCore i3のPCでも上記用途であれば十分であったため、それよりも高性能なCPUである以上、Celeronと言えども問題ない性能だと言えるだろう。
メモリに関しては動画編集をするのでない限り、8GBあれば十分である。
長所2:液晶が大画面・高解像度でキレイ
国内メーカーの安価なPCは、液晶ディスプレイの解像度が1366×768のハーフHDのモデルが多い。
しかし、このEZbook S4のディスプレイ解像度は1920×1080となっており、フルHDである。
ハーフHDの液晶と比べると段違いに美しく、画像や映像表示がきめ細かい上、文字フォントもなめらかで読みやすい。
また、液晶サイズは14インチであり、薄型PCとしては大画面の部類に入る。
好みにもよるが、反射を抑えたノングレア仕様になっているのも、PC作業には向いている。
液晶サイズが大きく、美しくて見やすいというのは、ノートPCにとっては大きなアドバンテージだろう。
ただし、液晶のピクセルが小さく、適切な表示サイズとなるよう拡大表示することになるため、古いソフトやアプリなどでは、表示がぼやけるという欠点もある。
長所3:本体が薄くて軽い
Jumper EZbook S4の本体重量は1.25kgである。
これは13インチクラスのノートPCと同等の重量であり、14インチ液晶ディスプレイを備えたPCとしては軽量な部類だと言える。
また、本体の厚みは8~15mmとなっており、持ち運びにも問題ない。
私は実家のPCを処分したため、帰省のたびにこのPCを持ち運んで実家でも使用している。
長所4:キーボードが打ちやすい
安価なノートPCは、キーボードの感触がイマイチだったり、キーを押すたびに本体がたわんでしまったりするものだが、EZbook S4はそんなことはなく、キーボードは打ちやすい。
キーサイズやキーピッチも十分で、キーを打った時の感触も良好だ。
欠点はUSキーボードになっていることだが、その点に関しては短所として後述する。
長所5:SSD+eMMCでストレージのアクセスが早い
本体のストレージはSSD 128GB + eMMC128GBの計256GBとなっており、HDDは搭載されていない。(ただし容量はモデルによって異なる。)
HDD搭載PCに比べるとストレージ容量自体は少ないものの、アクセススピードは圧倒的に速い。
これは特に、PC本体の起動時やシャットダウン時に威力を発揮する。
HDD搭載のPCしか使用したことがない人であれば、その速さに驚くだろう。
また、HDDと違って物理的な衝撃にも強い。
カフェなどの外出先で作業する人には必須のスペックではないだろうか。
長所6:プリインストールソフトが全くない
これが長所と言えるかどうかは、使う人次第かもしれない。
EZbook S4にはOSのWindows 10以外にプリインストールソフトが全くない。
私はPC初起動時にコントロールパネルの「プログラムと機能」を確認してみたが、Windows Updateのプログラムが1行表示されただけで、他のソフトは何も表示されなかった。
「プログラムと機能」が1行しか表示されないなんて、見たのは初めてである。(もしかしたら、この1行さえPC起動後にインストールされたものかもしれない。)
国内メーカー製のPCを購入した場合、多くの人が最初にやる作業は、不要なプリインストールソフトの削除ではないだろうか。
国内メーカー製のPCには不要なソフトがてんこ盛りだ。
特にPC初心者向けのソフトが山のように入っている。
これら全てを削除する作業だけで数時間かかるのはざらだ。
しかし、EZbook S4のように不要なソフトが全くなければこのような作業も必要なく、シンプルかつミニマルで美しさすら感じる。
国内メーカーも見習ってほしいものである。
なお、私はウイルス対策ソフトはAVASTを、オフィスソフトはLibre Officeを使用している。
どちらもフリーソフトのため、インターネットで無料でダウンロード可能だ。
Jumper EZbook S4の短所
では続いて短所について。
短所1:ゲームや動画編集には向かない
前述のようにゲームや動画編集などの処理速度が必要な用途には向かない。
1番の理由は、このような用途にはEZbook S4はスペック不足であることだ。
CPUの処理能力が低い上に、グラフィックボードがないため、3D演算や映像加工などの重い処理は全く不向きである。
また、スペック不足に加えて他の原因についても気づいたことがあるが、それについては別記事にする予定だ。
短所2:英語キーボードのキー配置に慣れが必要
EZbook S4のメーカーであるJumperは、中国メーカーであるため、キーボードは英語キーボードになっている。
数字とアルファベットについては英語キーボードも日本語キーボードも同じであるため、私としては全く問題ないと考えていたが、記号の位置がかなり違う。
この記号の位置の違いが、地味にストレスとなる。
その上、半角/全角の切り替えが、Alt + `キー(半角/全角キーの位置)となっており、2つのキーを同時に押す必要がある。
ついクセで半角/全角キーのみを押してしまい、半角と全角が切り替わっていないことが多々ある。
Windows10の機能で、英語キーボードを無理やり日本語キーボードの配置で使うこともできるが、そもそものキーの数が足りず、打てない記号があった。
英語キーボードを無理やり日本語キーボードとして使うための、キーボード用ステッカーも付属していたが、キーが足りないため意味がない。
結局、英語キーボードに慣れることが必要となってくる。

キーにひらがなが書かれていないから、見た目はシンプルで美しいんだけどな
短所3:タッチパッドの反応が悪い
キーボードの下にタッチパッドがあるが、デフォルトでは反応が悪かった。
Windows10の設定でタッチパッドの感度を上げることができるが、今度は逆に指を近づけただけで反応し過ぎてしまい、適切な感度に調整できない。
また、それ以上に厄介なのは、タッチパッドに内蔵されたクリックボタンである。
見た目では分からないが、タッチパッドの下部は左右クリックとして使えるボタンになっている。
このボタンが、押してもなかなか反応してくれない。
特に右クリックが酷い。
正常に右クリックとして機能することもあれば、全く反応しなかったり、左クリックに化けたりする。
いろいろ試してみたところ、右クリックとして使う場合は、以下の写真の箇所をピンポイントでクリックする必要があるようだ。
なお、タッチパッドは複数タップにも対応しているため、2本指タップを右クリックとして使うことも可能だ。
私は結局マウスを使うことにしたが。
短所4:液晶のリフレッシュレートが57Hz
EZbook S4の液晶は、どういうわけかリフレッシュレートが57Hzとなっている。
つまり画面を書き換える回数が1秒間に57回ということだ。
これが問題となるのは主にゲームをプレイする時だ。
60fps(1秒感に60回書き換え)固定のゲームをプレイする場合、60フレームのうち3フレームを間引いた57フレームを1秒間に描画してカクツキが発生するか、60フレーム全てを1.05秒かけて描画することで若干のスロー表示にするかのどちらかになるのではないだろうか。
私の場合は、以前使用していたPCで問題なく動作していたゲームが、このPCではカクつくようになってしまった。
処理速度的に問題ないゲームでもこのような状態になってしまい、非常に残念である。
なお、動画再生に関しては、特に違和感は感じていない。(私が気づいていないだけかもしれないが)
短所5:ストレージの容量が少ない
長所でも紹介したが、EZbook S4のストレージはHDDではなく、SSD + eMMCとなっている。
アクセススピードが速い反面、HDDに比べてストレージ容量が少ない。
動画ファイルなどの大容量ファイルを大量に保存すれば、すぐに容量がいっぱいになってしまうだろう。
このため、私はTranscendの2TBの外付けポータブルHDDをデータ保存用に使用している。
短所6:光学ドライブがない
こういった薄型のノートPCでは常識になりつつあるが、光学ドライブは内蔵されていない。
このため、ディスクメディアでのソフトのインストールや、CD/DVDの再生はできない。
そういった用途には外付けの光学ドライブが必要となる。
私は外付けのブルーレイドライブを別途購入した。
ただし、ブルーレイビデオの再生には再生ソフトが別途必要なので注意が必要である。
短所7:USB端子の数が少ない
EZbook S4のUSB端子は、USB3.0が1つ、USB2.0が1つの計2つしかない。
2つしかない上に片方はUSB2.0だ。
周辺機器やストレージ、スマホ等の接続を考えれば、圧倒的に足りない。
このため、いろいろ接続したいのであればUSBハブが必要だ。
中には電力が必要な周辺機器もあるので、出来れば外付け電源が使用できるものがいいだろう。
私は、少しでもUSB端子を空けるために、マウスはBluetoothマウスを使用している。
短所8:バッテリーの充電制御ができない
国内メーカーのPCにはバッテリーの充電を制御できるソフトがついていることが多く、「バッテリーが○○%以下になるまで充電しない」などのコントロールが可能である。
これはバッテリーをできるだけ長持ちさせる(寿命を延ばす)のに役立つ。
しかし、EZbook S4にはバッテリーの充電を制御するソフトがない。
どうもハード的に充電制御の機能がないようである。
つまりACアダプタがつながっていれば、満充電に近い状態でも充電が行われることになる。
このため、ACアダプタつなぎっぱなしで使用した場合、「バッテリーがちょっと減っては充電」を繰り返して、バッテリーの寿命が短くなってしまうことが懸念される。
私は念のため、満充電になったらACアダプタを抜いて使用するようにしている。
短所9:ACアダプタのケーブルが短い
EZbook S4のACアダプタはケーブルが1.2mと短い。
このため、充電しながら使用する場合は、コンセントの近くで使用する必要がある。
また、ファミコンのACアダプタのように、コンセントに挿すプラグ部分とACアダプタが一体化しているため、使い勝手も悪い。
PC側プラグが約2.5mm径と細いのも、耐久性的に不安が残る。
前述のようにバッテリーが満充電になるたびにACアダプタを取り外すのであれば、荒っぽく扱うのは避けたほうがいいだろう。
Jumper EZbook S4 レビューまとめ
長くなったので最後にもう一度、長所と短所について振り返っておこう。
長所
- 用途によっては十分な性能
- 液晶が大画面・高解像度でキレイ
- 本体が薄くて軽い
- キーボードが打ちやすい
- SSD+eMMCでストレージのアクセスが 速い
- プリインストールソフトが全くない
短所
- ゲームや動画編集には向かない
- 英語キーボードのキー配置に慣れが必要
- タッチパッドの反応が悪い
- 液晶のリフレッシュレートが57Hz
- ストレージの容量が少ない
- 光学ドライブがない
- USB端子の数が少ない
- バッテリーの充電制御ができない
- ACアダプタのケーブルが短い
以上、新品3万円強のWindows10 PC 「Jumper EZbook S4」を紹介した。
ゲームや動画編集などの重い処理には不向きだが、インターネットやオフィスソフト、音楽/動画再生などの用途なら十分な性能である。
一方で、使い勝手の悪さ等の短所もある。
このように、決して万人におすすめできるものではないが、PCに精通している人が特徴を理解して使用するのであれば、特に問題ないのではないだろうか。
“安くて使えるPC”を探している人は、ぜひチェックしてみてほしい。