和室のように床に直接座るスタイルを「床座(ゆかざ)」、オフィスのデスクのように椅子に座るスタイルを「椅子座(いすざ)」という。
自宅のインテリアを構築したり、家具選びをしたりする際に、「床座」にするか「椅子座」にするかの選択は重要である。
一度家具を選んでしまったら、逆のスタイルに変えるには多くの家具を買い替えないといけなくなるからだ。
今回は「床座」のメリットとデメリットについて考えてみたい。
私は、シンプルライフ開始初期から8年ぐらい床座生活をし、その後約7年間の椅子座生活を経て、現在は再び床座生活に戻っている。
どちらも一長一短あるというのが正直な感想だ。
なお、インテリア構築全般については以下の記事を参照してもらいたい。
「床座」「椅子座」それぞれ向いているのはこんな人
結論から言うと「床座」「椅子座」それぞれ向いている人は以下のようになる。
「床座」に向いている人
- 部屋を広く使いたい人
- 部屋でリラックスしたい人
- 来客が多い人
- こたつを使いたい人
- 和室の人
「椅子座」に向いている人
- 部屋で仕事・勉強・作業等に集中したい人
- 楽に長時間座りたい人
- 来客を想定しなくていい人
「床座」と「椅子座」のハイブリッドもあり。
それでは「床座」のメリットとデメリットについて考えてみよう。
「床座」のメリット
まずは「床座」メリットについて考えてみたい。
床座のメリットを羅列してみると以下のようになる。
- 背の高い家具を使う必要がない
- 天井までの距離が遠くなる
- 来客にも対応しやすい
- 床に寝転がることができる
一つずつ見ていこう。
メリット1:背の高い家具を使う必要がない
「椅子座」の場合、机(テーブル)や椅子だけでなく、その他の家具もある程度背の高い物をそろえる必要がある。
そうしないと使い勝手が悪くなるためだ。
椅子に座っているのに、テレビが床に近い高さにあったら見づらくてしょうがないだろう。
そのように考えると「椅子座」は部屋に置く家具がどれもある程度の高さになってしまい、圧迫感を感じやすい。
逆に「床座」なら全ての家具を背の低い物でそろえることができるため、圧迫感を感じにくいインテリアにすることができる。
もちろん、「床座」なのに背の高い家具を置くのは最悪の組み合わせなので、絶対にやってはいけない。
「床座」でかつ、座った時の視点より低い家具のみで構成するのがベストだ。
背の低い家具をそろえることで、圧迫感を感じにくいインテリアを構築することができる。
これが「床座」の1つ目のメリットだ。
メリット2:天井までの距離が遠くなる
「床座」の場合、座って過ごしているときは天井までの距離が「椅子座」に比べて遠くなる。
天井までの距離が遠いと解放感を感じやすい。
吹き抜けの天井が気持ちいいという感覚は誰でも経験しているだろう。
「床座」なら通常の天井が、まるで吹き抜けの天井のごとく感じられるのだ。
天井までの距離が遠くなることで、解放感を感じる。
これが「床座」の2つ目のメリットとなる。
メリット3:来客にも対応しやすい
来客のことを考えると、椅子座の場合、来客用の椅子を別途準備する必要がある。
自分が椅子に座っているのに、客を床に座らせるなどもっての外だろう。
ならば全員床に座ればいい、と思うかもしれないが、机や椅子などの背の高い家具に囲まれて、全員床に座っているなど、異様な光景である。
そうなると、来客時のことも考慮して、別途ソファーなどを部屋に置く羽目になってしまう。
その点「床座」なら来客時の対応も問題ない。せいぜいクッションを準備する程度だ。
来客に備えて余計な家具を追加する必要がない。
これが「床座」の3つ目のメリットである。
友人を自宅に招く機会が多いなら、「床座」のほうが適していると言えるだろう。
メリット4:床に寝転がることができる
これはメリットと言えるかどうか分からないが、「床座」の場合、疲れたらそのまま床に寝転がることができる。
「床に寝転がる」と書くと、なんか痛そうな感じもするが、カーペットやラグの上に寝転がる姿を想像するといい。
冬にこたつがあれば、座ってよし、寝転がってよしと、それはもう最高である。
逆に言えば、「床座」はグータラしてしまうということになるが。
あえて表現するなら、「リラックスしやすい」のが「床座」の4つ目のメリットだ。
「床座」のデメリット
では、次に「床座」のデメリットを挙げてみる。
- 座っていて疲れる
- フローリングと相性が悪い
- 床を清潔に保つ必要がある
- 立ち上がるのが億劫になる
順番に見ていこう。
デメリット1:座っていて疲れる
座っていて疲れるのは、「床座」の最大のデメリットだ。
正座はもちろん、あぐらをかくのも長時間はつらい。
そうなると次第に足を崩した座り方になってしまい、行儀が悪いだけでなく、体のゆがみにもつながってしまう。

だからO脚になってしまったんやな

やかましいわw
その点「椅子座」ならば、誰でも楽に座ることができる。
「椅子座」に比べて「床座」は長時間の作業には向かないのである。
仕事や勉強などの集中しなければならない環境では、「床座」よりも「椅子座」のほうが良いだろう。
仕事や勉強には向かないのが「床座」の1つ目のデメリットだ。
デメリット2:フローリングと相性が悪い
床がクッション性のある畳やカーペットならいいが、硬いフローリングの場合、そのままでは座れない。
フローリングで「床座」をする場合、別途ラグやクッションが必要になってくる。
最近の住居では畳よりフローリングの部屋が多いため、どちらかと言えば「椅子座」を想定した住居がほとんどだと言えるだろう。
マンションの2階以上などで、床がクッションフロアになっている場合は、多少はマシかもしれないが。
このように、そもそもフローリングと相性が悪いのが「床座」の2つ目のデメリットとなる。
デメリット3:床を清潔に保つ必要がある
「床座」の場合、視線のすぐそばに床があるため、床の上のホコリや髪の毛などのゴミが目につきやすい。
また、床の上に座ったり寝転がったり、あるいはローテーブルなどの床に近い位置で食事を取ることになるため、床を清潔に保つ必要がある。
床の汚れに神経質にならざるを得ず、頻繁に掃除をする必要があるのが、「床座」の3つ目のデメリットだ。
だからと言って、「椅子座」なら床を清潔に保つ必要がない、というわけでもないのだが。
デメリット4:立ち上がるのが億劫になる
「椅子座」は立ち上がるのが楽な一方、「床座」は立ち上がるのに労力がかかる。
このため、床に座っていると、家事などのやらなければならないことに対して、なかなかやる気になれないという状態になりがちだ。
特に冬にこたつを使っている場合、こたつから出たくないという気持ちも加わって、なおさら「動きたくない」という状態になってしまう。
このように、やるべきことに対して、すぐに動き出せなくなりがちというのが「床座」の4つ目のデメリットである。
まぁ、気持ちの問題だけどね。
「床座」と「椅子座」のハイブリッドはどうなのか
ミニマリストの中には、普段は「床座」だが、作業用に机と椅子を置いていて、作業時のみ「椅子座」という人もいる。
家具が増えてしまうのと、高さの異なる家具が混在するため「床座」時に圧迫感を感じるのが欠点だが、そこを許容できるのであれば、それもアリだと思う。
私としては、シンプルにどちらか1つに統一したほうが好みではあるが。
また、クローゼットや押し入れの上段部分を机代わりにして、部屋に家具を増やすことなく「床座」と「椅子座」のハイブリッドを実現している人もいるので、ハイブリッドを考えている人には参考になるだろう。
こうしてみると、作業は机と椅子でやりたいという人も結構いるということだね。

正直、掘りごたつこそ最強なのでは、という気がしている
まとめ
「床座」のメリットとデメリットについて、再度確認してみよう。
メリット
- 背の高い家具を使う必要がない
- 天井までの距離が遠くなる
- 来客にも対応しやすい
- 床に寝転がることができる
デメリット
- 座っていて疲れる
- フローリングと相性が悪い
- 床を清潔に保つ必要がある
- 立ち上がるのが億劫になる
「床座」と「椅子座」のどちらが優れているということではなく、用途に応じて選択する形になるだろう。
特に、部屋で「仕事や勉強などの作業に集中する必要があるかどうか」がポイントになるのではないだろうか。
現在、私は「床座」生活であるが、またいつか「椅子座」に戻る日が来るかもしれない。